青少年の「ひきこもり」って?
Q1「ひきこもり」ってどんな状態?
A1
「ひきこもりとは、特定の病気や障害ではなく、
ひきこもっている「状態」を示す言葉です。

厚生労働省の定義などを参考にすると、自宅にひきこもって学校や仕事に行かずに、 家族以外との親 密な対人関係がない状態が6ヶ月以上続いている状態を指します。
「ひきこもり」であるかどうかという定義や基準にあまりこだわらず、本人や家族が何らかの困難を感じられているのであれば、支援が必要な状態であると考えてください。

「ひきこもり」の程度はさまざまで、相談事例(注)のうち、本人の約5割は外出に困難が伴います(外出不可能が26.9%、条件付で外出可能が20.9%) 一方、約5割は外出可能ですが、対人交流の少ない生活を送っています(「友人とのつきあい・地域への活動には参加」しているものは1割弱)。

同様に相談事例については、本人の性別は、男性が約4分の3と多く、年齢は19歳~24歳がピークですが、30代が約3分の1を占めています。 「ひきこもり」始めてから現在までの経過年数は平均4.3年となっています。1~3年未満が24.9%と最も多いのですが、10年以上経過も23.1%と多くなっています。

本人の年齢・本人の性別グラフ 問題発生から現在までの経過年数・本人の性別グラフ

(注)データは、平成14年に全国の保健所・精神福祉センターに相談のあった事例について調査を行った「社会的ひきこもり」に関する相談・援助状況実態調査報告」(平成15年7月28日)によるものです。

Q2「ひきこもり」ってどうしてなるの?
A2
さまざまな要因が重なっていることがほとんどです。
原因が特定できない場合もあります。

「ひきこもり」のきっかけは明確な人もあれば、はっきりしない場合もあります。相談に来られる御家族が思い当たるきっかけとしては、 「いじめ、不登校などの学校に関すること」「職場や仕事に関すること」「進路選択の失敗に関すること」が多いようです。
健康な方でも一時的に「ひきこもり」状態になることがありますし、統合失調症やうつ病などの精神疾患によって起こる場合もあります。

「ひきこもり」と精神疾患

精神疾患の中には「ひきこもり」やそれに似た症状をもたらすものがあります。 状態としては似ていますが、対応方法が違ってきますので、注意が必要です。 いずれにせよ、早めに相談機関に相談することが大切です。

統合失調症

統合失調症の中には、次第に無口になって成績がさがり始め、だんだんと部屋にこもりがちになるという、 経過が非常にひきこもりと似たものがあります。また、陰性症状といって、傍から見ているといつも疲れやすく 無気力でごろごろしている、といった状態が続くものもあります。

うつ病

ゆううつな気分と共に、意欲の減退、集中力の低下などが生じ、自分自身に対する感情も大変否定的になってしまいます。 便秘や食欲不振、朝早く目が覚めるがなかなか起き上がれない、といった身体症状を伴いがちです。

「ひきこもり」と精神疾患の中の強迫性障害

例えば「自分の手は汚れているのではないか」といった、一つのものごとに考えがとらわれてしまう症状(強迫観念)と、 それに左右されて、例えば一日に何十回となく手を洗うなど、同じ行動を何度も繰り返す症状(強迫行動)があります。

摂食障害

体重の減少に対して強いこだわりがあり、拒食や、過食と嘔吐の繰り返しといった症状のほかに、 自分に対して自信が持てないことから対人関係で困難を感じる状態におちいってしまっていることも多く、 結果として「ひきこもり」になることがあります。

Q3「ひきこもり」は怠けではないでしょうか?
A3
「ひきこもり」は、「元気」や「自信」が失われた状態で「怠け」や「反抗」ではありません。

ひきこもりの状態は、何らかの理由で「元気」や「自信」がなくなっている状態です。 その上、社会的経験が少ないという要因が重なっている方もあります。
そのため、回復に向けては、元気を出し、自信をつけ、社会的経験を増やしていくという経過をたどることが必要になります。
きっかけさえあればすぐに社会に出ていけるというわけではないようです。

元気がない・自信がない・社会経験や生活経験がない
元気がない

この元気がない背景には、こころの病や精神的に不安定になっている場合が考えられます。 心を安定させるお薬の力を借りることで、元気を取り戻される場合もあります。

自信がない

挫折体験やいじめなどの明確な契機の場合もありますが、むしろ小さなつまずきを何度も繰り返して自分に自信がなくなっている状態です。 特に対人関係が苦手な方が多く、対人関係についての自信のなさがうかがわれます。

社会経験や生活経験が少ない

どちらかというと内向的で、アルバイトなどの社会経験が少ない場合があります。 また、人付きあいも苦手な方が多く、もともと、人と接する機会自体が少なかったという要因が重なっている場合もあります。

Q4ひきこもり」は「親の育て方が悪かった」から?
A4
どんな家庭でもあり得る状態です。「犯人探し」をしても意味がありません。

そのときそのときには最善をつくして育てたつもりでも、子どもが長期にわたりひきこもると、 家族は自分たちがその原因なのではないかと自分を責めたり、将来への不安や悲観、絶望感を感じていることがしばしばです。

しかし、過保護や放任などの親の育て方や過去の家庭環境などに原因を求める考え方は、多くの場合問題の解決にはあまり役に立ちません。 先述したように、実際にはさまざまな要因が重なって「ひきこもり」になっている場合が多いからです。

したがって、「学校の先生が悪かった」・「職場の仲間が悪かった」等、他者に責任を押しつけることも、適切ではありません。
原因や「犯人探し」よりも、むしろこれから本人のどういう点を伸ばしていくのか、家族をどう応援していくのかを考えていくことの方がむしろ効果的です。

「ひきこもり」と不登校

「ひきこもり」相談事例のうち、最初に問題が発生したときの年齢は「19~24歳」が最も多いのですが、 それについで「16~18歳」、「13~15歳」となっています。学齢時に問題が起こった場合、「不登校」という形をとることになります。
もちろん必ずしも不登校の子ども全部が「ひきこもり」状態になるわけではなく、心配しすぎる必要はありません。

最初の問題発生年齢(不登校を含む)

Q5では家族にはどんな応援が必要になりますか?
A5
家族にも「元気」と「交流」が必要です。

家族は、毎日、子どもの行動を目を皿のようにして見守っていることも多く、ちょっとした子どもの変化に一喜一憂してしまいがちです。 そのような緊張した毎日に疲れ果てたとしても不思議ではありません。この苦しい状況を誰かに相談したくとも、 家庭内のことを親戚や近隣の人に相談するのはかなり勇気のいることです。つい、誰にも相談しないまま時間だけが経ち、 家族自身もまた周囲から孤立してゆくこともまれではありません。

こうした家族の孤立感や罪悪感を軽減することは、家族が専門家に相談する大切な目標の一つとなります。 相談機関が家族にとって唯一本音を話せる場であることもしばしばです。 また、持って行き場のない気持ちを、安心して話せる人や場所、家族が自分たちの経験や思いを共有でき、 孤立感を和らげられるような場所を見つけることも大切です。 相談機関が行う「家族教室」や、自主的に結成された「家族会」などがその役に立つでしょう。

周囲の人々には、その家族の「しんどさ」を十分受けとめながら話を聞くことが求められます。 困っておられるようでしたら、このホームページを教えてあげたり、相談機関を紹介してあげてください。

Q6まず家族がどう対応するの?
A6
家族の対応のコツは
「励まし」よりも「ありのままの本人を認める」ことです。

「ひきこもり」という状態は、本人が「元気や自信がなくなっている」状態であり、なおかつ「学校や仕事などに就かず社会的交流が少ない状態」です。
「元気や自信がなくなっている状態」が改善していかないことには、「外出」や「就職活動」といった、新しいこと・未知のことへのチャレンジは始められません。
とすれば、ひきこもりを「怠け」や「甘え」ととらえて叱咤激励するのではなく、 「元気や自信がなくなっている状態」をどう改善したらいいのかを考えていくことになります。

本人が「ありのままの自分」を認め自分らしい生き方を探っていくためには、「ありのままの自分」を認めてくれる他者の存在が必要です。 まずは家族が「ありのままの本人」を認めていくことが、本人にとって自信をつけていくきっかけになります。 「このままではだめだ」「どうしてこんなことができないんだ」という言葉や期待は、むしろ本人を追い込み、自信を失わせることにつながりかねません。

Q7「ひきこもり」は時間がたてば改善していくの?
A7
長期化している場合、放置しても改善は見込めません。
まずは家族が専門家のアドバイスを求めましょう。

放っておくのではなく、そっと見守り、本人の様子や回復の状況に応じて、周囲の対応も変えていく必要があります。 信頼できる相談機関に継続して相談しましょう。

相談を重ねる中で、安心して家庭で過ごすことができ、次に安心できる人や場所を見つけ、 そこで小さな成功体験を積み重ねることや、居場所や仲間の獲得を通じて、自分らしさを発見し、 自分にあった生活を肯定的に選べるようになっていくことが、長期的な目標になります。

PDF「ひきこもり」からの回復と自立を援助するために ~ご家族のためのヒント集~