「ひきこもり」って?
Q1「ひきこもり」ってどんな状態?
A1
「ひきこもり」とは、ひきこもっている「状態」を示す言葉です。

ひきこもりの評価・支援のガイドラインによれば、「ひきこもり」とは、様々な要因の結果として、義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外での交遊など社会的参加を回避し、原則的には6ヶ月以上にわたって概ね家庭に留まり続けている状態を言います。

また、ガイドラインでは、他者と関わらない形での外出をしていてもよいと定義づけています。例えば、「普段は家にいるが、買い物に出かける程度は外出する」、「普段は家にいるが、自分の趣味に関する用事の時には外出する」という方も、広い意味では「ひきこもり」と判断されます。

京都府では、地域の民生児童委員の協力を得て、平成29年度に「ひきこもり実態調査」を実施しました。その結果によれば、全く家から出ない人が22.1%、買い物程度外出をする人が37.3%、趣味に関する用事の時には外出する人が31.2%となっています。男性が約7割、女性が約3割の割合で、全国と同じ傾向にあります。

平成29年度ひきこもり実態調査より 外出状況/男女比

Q2「ひきこもり」ってどうしてなるの?
A2
さまざまな要因が重なりあっていることがほとんどです。
原因が特定できない場合もあります。

「ひきこもり」の背景要因には、大きく分けると①社会的要因、②心理的要因、③生物学的要因の3つあると言われています。

①社会的要因

職場や学校での対人関係、家族関係、友人関係、いじめ、仲間はずれ、ハラスメント、家族間における言葉による暴力、高圧的な態度等があります。

②心理的要因

不安や恐怖、自尊心の傷つき、希望の持てなさ。自己肯定感(自らの価値や存在意義を肯定できる感情)を持ちにくい状態であると言えます。

③生物学的要因

精神疾患や精神的不調、知的・発達面の遅れや偏り。

いじめや家族関係の不和、病気等、1つの原因だけで「ひきこもり」となることは少ないとも言われています。これら3つの要因が複雑に絡み合って、「ひきこもり」という状態が生じています。原因が特定できないこともあります。

平成29年度ひきこもり実態調査より ひきこもりのきっかけ

Q3「ひきこもり」は「怠け」や「甘え」ではないでしょうか?
A3
当事者は、怠けていたり、甘えている訳ではありません。むしろ、「今の状態を何とか改善したい」と強く思っておられます。

ひきこもり当事者は、今の状態を好んでおられる方はおられません。むしろ、「何とかしたい」、「どうやったら変われるだろう」と悩んでおられます。また、「仲間はずれにされたらどうしよう、嫌われたらどうしよう」、「失敗したらどうしよう」という不安や恐怖と闘っておられる方も少なくありません。

当事者の「怠け」や「甘え」の問題という視点では、ひきこもりの理解や支援には結びつきません。

Q4「ひきこもり」は「親の育て方が悪かった」から?
A4
「親の育て方」の問題という視点でも、引きこもりの理解や支援には結びつきません。

ご家族に話をお聴きすると、「私の育て方が悪かったんです」、「あの時、きちんと話を聴いていたら…」とおっしゃる方は少なくありません。その結果、自分たちがその原因を作ったのではないかと自らを責めたり、将来に対する不安や悲観、絶望感を感じておられたりすることも見受けられます。

原因探しをしていくよりも、むしろ、これからの本人のどういう点を伸ばしていくのか、家族はどう応援していくのかを考えていくことの方が大切です。

Q5では家族にはどんな応援が必要になりますか?
A5
ご家族自身のためにも、ひきこもっておられる当事者のためにも、ご家族には「元気」を取り戻していただくことです。

家族は、毎日、子どもの行動を見守っておられることが多く、本人のちょっとした変化に一喜一憂してしまいがちで、このような緊張した毎日に疲労困憊になってしまうことも少なくありません。

一方、そんな元気のない家族の姿を、当事者は敏感に感じ取っておられます。「あの疲れた様子は、自分がこのような生活をしているからではないか」、「夫婦げんかの要因は、自分ではないか」と不安に感じておられることも少なくありません。

このような状況下では、これからの将来のことを前向きに考えるということは容易ではありません。まずは、ご家族自身のためにも、ひきこもっておられる当事者のためにも、家族が元気になってもらうことが必要です。

当センターでは個別相談だけでなく、同じような悩みを持ったご家族に集まっていただき、家族教室、家族交流会を開催しています。家族の不安をはき出したり、悩みを共有したりすることで、気持ちが和らぐこともあります。

Q6家族はどう対応すれば良いの?
A6
「励まし」よりも「ありのままの本人を認める」ことです。

「ひきこもり」という状態は、本人が、「元気や自信がなくなっている」状態です。そのような本人に対し、「頑張って」と励ましたり、「何をしているんだ」と叱責することは好ましくありません。

ご本人の状態に一喜一憂せず、「こんな時もあるか」とありのままを受け入れるところから始めましょう。

「おはよう」「おやすみ」といった挨拶や、体調を気遣う言葉かけをしてください。小さなことでも、ご本人の良い点、周囲の役に立っている行動、できていることを、意識的に「ありがとう」「助かった」と伝えるようにしましょう。そうした、何気ない言葉かけが自己肯定感の高まりに繋がっていきます。

Q7「ひきこもり」は時間が経てば改善していくの?
A7
放置しても改善は見込めません。
本人が安心して過ごせる場、話せる場を、まず家庭の中で作っていきましょう。

ひきこもり回復へのプロセスには段階があり、一足飛びに外部の人と関係が持てたり、話ができたりするのはごく稀なことです。まずは家庭内で安心して過ごせることができるようになることが必要です。下記の「ひきこもりからの回復を支援するために ~ご家族のためのヒント集~」を参考にしていただき、まず家族の接し方を見直してみましょう。

PDF ひきこもりからの回復を支援するために ~ご家族のためのヒント集~